ジブリ映画の舞台「聖蹟桜ヶ丘」が、衰退していない明確な理由

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普段はマニアックなレコードのことばかり書いてんすけど、今日はワタクシの住んでる街のことについて。

日曜の朝、梅雨の晴れ間の穏やかな一日が始まり、ダラダラとネット記事を見ていたら、とある記事がワタクシを秒で逆上させた。幻冬舎ゴールドオンラインの記事だ。

あまりにも下らないので要約すると(リンク貼って向こうのビューに貢献したくない)

"桜ヶ丘という古き住宅地は高齢化が進むなかで坂道が仇となり転居が相次いでいる。このままではゴーストタウンになる、再生が急務だ"

記事を書いた奴は耳すまの丘めぐりもしたこと無いようなトンチキ野郎に違いない。

確かにここ数年転出は活発化している、しかし一方で若い家族の転入も続いている。転居で空き家となった場所は更地にされて建て売りされるケースが多いが、桜ヶ丘の住宅地は元々の敷地が300㎡超のところも多く、そうした土地にはだいたい二つは家が建つ。価格は概ね四千萬前後だが売れずに残っているようなものは殆ど無い(レンガ造りの高級な住宅はさすがに売れるまで時間掛かった)。となると、前より人口は増える結果となる。

また、時々立て直さずにそのまま売られるレアなケースがある。確かに築年は経っているが基本的に注文住宅なんで建材のスペックが高く、そして土地はめちゃくちゃ広い。値段はピンキリだが参千萬前半の出物は即売り止め/契約となっている。

このように丘の上では現在も緩やかに世代交代が進んでいる。去年のハロウィンでは近所の子ども達が二十人くらい連れだって家を回り、トリックオアトリートをやっていた。ロータリーの商店街も「和桜」のような新しいお店が新しい常連さんを確実に増やしている。「ノア洋菓子店」も耳すまファンが絶えず訪れていて健在だ。しかし、ワタクシのイチ推しは「魚進」だ。ここのお刺身の旨さはBest kept secretである、書いてしまったけど。

駅周辺にも、若い世代が移住してきて魅力的なお店を経営しているのが聖蹟桜ヶ丘の特徴である。

裏通りの三軒長屋には人気の居酒屋「三太」、隣には昼はパスタ、夜はバーとなる「mascot」。mascotの上野さんは曽我部恵一バンドのメンバーだった人としても知られる。

駅から少し離れた古民家には、大人気のドーナツ屋「Hugsy Doughnuts」、大栗橋近くには「cafe de fleurus 27」、多摩川寄りには「Alicia cafe」、明神橋通りには「tak beans」といったカフェ・コーヒー文化も着実に醸成されている。

丘のふもとには映画鑑賞会も行うカフェ「キノコヤ」、セレクト古着屋だが食事も楽しめる「マメトラ」など個性的な店が大栗川沿いに並ぶ。明神橋通りには新しい和菓子屋「花鳥風月」も出来た。

府中と比較すると、向こうは古くから宿場町として栄え、古き良きものが多く残っているが、新参者は入りづらかったりする。そして家賃相場は高い。多摩市は、特に聖蹟桜ヶ丘は特急停車駅にもかかわらず、駅周辺は過剰開発もされず何処かのんびりゆったりとしている。そして家賃相場は余程の駅近で無い限りは安く、新しいお店やビジネスを呼びこんで緩やかに新陳代謝を繰り返している。都会やニュータウンにありがちな急速な開発・発展から何年後かに訪れる急速な衰退も無い。これこそが、聖蹟桜ヶ丘の魅力だと考える。

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