Welcome to the story pt.2

イメージ 1


1988
音楽よりもファッションに気持ちが傾き、様々な音楽をディグることを怠っていた期。Princeはとうとうジャケでスッポンポンになり、音楽的には良かったが私の気持ちは離れつつあった。当時の私は、世田谷や東急沿線に住むシャレオツな奴等が集まる高校に通っていたが、彼等はBobby Brownのようにダンス甲子園で掛かるような音楽を好んでいたので、私は自身の音楽的嗜好を隠蔽して過ごした。当時、NJS的なサウンドを理由も無く猛烈に嫌っていたが、今は大好物だ。個人的にはDolphin Brothersとか、Blow Monkeysなんかをよく聴いたっけ。音楽的にも米国から離れていたかも。確かこの年に初めての12インチシングルを買ったはずだ。渋谷タワレコDepeche Modeの"Behind the Wheels"を見つけた。私の好きなPVのヴァージョンはアルバムに入っていなかったのでコレだと思い購入した。まだ我が家のステレオコンポにはレコードプレーヤーが付いていた。

1989
メタル好きの友人宅でDef JamのPV集を観た。彼のイチ押しはPublic Enemyであったが、私は眼帯やら極太チェーンやらを付けてスムーズにラップする男が気になった。Slick Rickのことである。もう一つ、N.W.A.というとてつもなくイカツいた顔の怖そうな人たちのCDを聴かされた。ファッ◎ザポリス収録のアレです。当時聴いた時は刺激が強すぎて拒絶反応ありましたが、これも今や大好物です。あーあとBDPとかも教えてくれた、メタラー友人に30年越しの感謝。そいや確かこの時期にDepeche Modeの国内企画と思われるCD4枚組リミックス集で初めてAdrian Sherwoodの名を知る、''People are people"を切り刻みまくって再構築したリミックスに得体の知れない衝撃を受けた。これは果たして音楽なのか、それともパッチワークみたいに組み合わせられた音の集合体なのか、不思議な感覚。そして今でも好きなリミックス。

1990
Depeche Modeは"Violator"で遂に世界を制した。それからFrancois Kevorkianの名を知ることとなる。Body & Soulで直接見ることになるのはそれから十数年後。当時の雑誌で、ハウスミュージックという新しいダンスミュージックが流行っているという記事を目にした。そして秋か冬頃に、UKの最先端音楽を紹介する番組が始まった。今では知る人も少ない名番組、Beat UKだ。私はこれらから得た情報で、大型輸入CD店のはしりである新宿のヴァージンメガストアでとある機材にちなんだユニークなグループ名のCDを買った。808 Stateの名盤"90"です。これを機に私は、よりダンスミュージックに傾倒してゆくことになる。ダンスなんて出来なかったし、まだDJもドラムマシンもサンプラーもどういったものであるかを全く知らなかったが、これら最先端のダンスミュージックが、どのように作られ、そしてプレイされているのか非常に興味を持ったのだ。

1991
せっかく附属高校に入ったのに勉強をしなさ過ぎて浪人生に転落した。予備校に通いながらもヴァージンメガストアを日々チェックしたが、ここで問題が発生した。Beat UKでチャートインしている曲には、CD化されて無かったり、アルバムに収録されているのは違うヴァージョンだったりした。浪人生は諦めず、新宿アルタにレコードを専門に取り扱う、今はなき名店Cisco新宿店を見つけた。さらに渋谷へ足を伸ばし、これまた今はなき名店Waveを見つけて、以降も定期的にチェックした。浪人生なもんで恐ろしく金欠であったが、この年の夏に永遠のサマーアンセムがリリースされて私も購入した。DJ Jazzy Jeff + Fresh Princeの"Summertime"。この時期から次第にラップ/ヒップホップにも傾倒し始めた。きっかけはDe La SoulやGangstarr、Pete Rock & CL Smoothなどの新世代、いわゆるニュースクール世代による、さらに洗練されたサンプリングアート、借り物を絶妙な組み合わせで完全に新しいものにする、その錬金術のような音楽が私を虜にした。先のDe La SoulやDeee LiteのPVで、渋声でラップする若者が印象的だった。これがATCQQ-Tipだと知るにはラップ初心者の私にはもう少し時間が掛かった。ハウスと括られていたものから分離した、テクノと呼ばれる音楽も私を魅了した。The OrbOrbital、KLF、The Shamen、Altern8、等々。808の新作"ex:el"で後の世界的歌姫Bjorkを知った。そして、Saint Etienneの1stアルバム"Foxbase Alpha"も衝撃であった。懐かしさを多分に含んだポップ感とシングルに顕著な旬なリミキサーの起用、ここで私はMasters at Workの存在を知る。